近年の目まぐるしく変わる税制改正には頭を悩まされます。
相続税しかり、法人税しかり。消費税にあっては、毎年の改正と手続きの複雑さで税理士賠償事案が増えているそうです。
先日行われた消費税の税理士研修で「あっ、危ない。」と思ったことがありました。
平成22年度の消費税改正です。
平成22年4月1日以後に消費税の課税事業者を選択した場合、又は資本金1千万円以上の法人を設立した場合は課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期中に調整対象固定資産(棚卸資産を除く100万円以上の資産)を取得し、かつ原則課税で消費税の申告を行った事業者・法人は、調整対象固定資産を取得した日の属する課税期間の初日から原則として3年間は免税事業者になることができない。また、簡易課税制度を選択して申告をすることができません。
3年前の税制改正の研修で、これからは賃貸用建物を建築したり、大きな設備投資をした場合は3年間は簡易課税の選択ができないのだ。そして、簡易課税制度選択届出書や課税事業者選択不適用届出書の提出は、3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければならず、それ以前は認められない。
この改正は、いろいろなテクニックを使って消費税還付を受けることへの防止策として行われたものだとわかっていても、3年間経過した翌年の計算方法をその前事業年度に手続きをしなければならないというのは実務家にとって結構プレッシャーです。
「あっ危ない!」と思ったのは、次の事案です。
平成23年にテナントビルを建築しました。
収入は家賃収入だけですので、通常の消費税計算は簡易課税が有利です。
しかし、建築費の消費税還付が大きかったので、平成22年に課税事業者選択届出書を提出。
23、24、25年と原則課税で消費税を計算し、26年から簡易課税を選択するために25年中に簡易課税制度選択届出書を提出しなければとメモをとっておきました。
今年が届出書の提出年です。
しかし、研修で再度この改正を復習すると強制課税期間に調整対象固定資産を取得したら3年間簡易課税制度は提出できないのです。
ここの関与先は平成24年に100万円以上の外構工事を行っています。
つまり、簡易課税制度が選択できるのは、3年間経過した平成27年からです。
今年に平成26年から適用のための届出書を提出したら、その提出はなかったものとみなされます。
こちらは、簡易課税制度選択届出書を提出しているので、簡易課税で消費税を計算していて数年後に税務調査でその提出がなかったものとして否認された場合は、大きな痛手です。
危ない、危ない。