今回は、所得税において青色申告の承認を受けている個人事業者が税務調査で帳簿書類の提示を拒否した場合に青色申告承認の取消処分が行われるのかどうかについて考えたいと思います。
青色申告制度については「国税庁のタックスアンサー」を参照して下さい。
青色申告では帳簿の備え付け・記録又は保存が義務付けられています。(所法第148条)
したがって
青色申告の承認の取消事由として、所法第150条1項1号に帳簿書類の備付け、記録又は保存が行われなかったことが挙げられています。
税務調査で帳簿書類を提示しなかった場合、この青色申告承認の取消事由に該当するのか?
「提示」は帳簿書類の「備付け、記録又は保存」に該当するのか?が問題となります。
判例で「帳簿書類の提示拒否を理由とする青色申告承認の取消処分の適否」があります。
【最高裁H18.9.3、東京高裁H7.12.11、長野地裁H5.11.25】
この判決で、所法第150条1項1号の解釈について以下のような内容が述べられています。
所得税法は、青色申告の承認を受けた者に対しては各種の優遇措置を規定しており、その反面、帳簿書類の備付け、記録、保存が義務付けられている。
税務署長は青色申告者がこれらを行わなかった場合は、青色申告の承認を取り消すことができるとし、そして、所法234条で税務職員は、所得税に関する調査について必要があるときは、納税義務者の帳簿書類を検査できるものとしています。
これらの規定を総合すると、所得税に関する税務調査を行う場合には、青色申告者は、税務職員による帳簿書類の検査に応ずべきものとし、その調査において、帳簿書類の備付け、記録又は保存が正しく行われていることを確認できなかった場合には、税務署長は、青色申告の承認を取り消すことができると解するのが相当とされています。
税務調査時にいたずらに帳簿書類の提示を拒否することは、青色申告の承認を取り消される事由に該当するようです。
税務職員も帳簿の備付け状態等を確認するために社会通念上当然要求される程度の努力を行うことが大切であり、そのような努力を怠れば裁量権の濫用にあたります。


